…続き…
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発問5
島田知事が、人に請われると好んで
書いた字があります。
漢字1字です。何だと思いますか。?
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生徒からは
「命」「勇」「烈」などが出ました。
正解が出ないので、黒板に大書する。
『正解は
「断」です』
『この字はどういう意味でしょうか。
島田知事の行動に照らして、考えてみましょう』
○決断する。
○自分の未練を断ち切る。
○状況を良く見て判断する。
私から
●決断の断、
●断固実行するの断、
●迷いを断つの断
なども紹介し、認識を深めさせました。
「島田さんの生き方が、この一文字に表れている」と言った生徒がいました。
島田知事の意を良く汲み取ったと言えましょう。
事後の生徒の感想を紹介します。
○人間にはやらなきゃいけないことがある。これを学べた道徳だった。
自分にはとうてい出来そうにないが、いつかは出来るような人になりたい。
○自分の命を捨てても県民とともに努力した島田さんを尊敬します。
自分も部長なので、部員とともにみんなで気持ちを一つにして頑張りたい。
時間に余裕があれば、次のエピソードを紹介したい。
〔1〕島田知事の座右の書は『南洲翁遺訓』と『葉隠』でした。
沖縄赴任の際にも持参しました。
30代半ばの島田が佐賀県警察部長時代、「西郷隆盛勉強会」に参加した時のエピソードです。
島田は、桐野利秋からの
「偉い人とはどんな人ですか」
という質問に答えた西郷の言葉を生涯の修養目標にしました。
その時の西郷の答えはこうでした。
「偉い人とは、大臣であるとか大将であるとかの地位ではない。
財産の有無ではない。
一言に尽くせば、後ろから拝まれる人である。
死後、慕われる人である」これを聞いた島田は、師匠に次のように誓いました。
「今夜は本当に痛棒を喫しました。
中学時代から野球選手としてチヤホヤされていい気になり、大学卒業後は官吏となって部下から頭を下げられてうぬぼれていました。
泡のような人気、煙のような権力の地位、今後こうした臭みを一掃して、真の自己完成に精進します」
そのおよそ10年後 島田知事は死して「島守の神」となり、
本当に「後ろから拝まれる人」「死後、慕われる人」になったのです。
〔2〕島田知事の母校・旧制神戸二中(現兵庫県立兵庫高等学校)には、島田知事の顕彰碑が建っています。
そこに刻まれた文字は、
「断而敢行鬼神避之」(断じて敢行すれば鬼神も之を避く)
[司馬遷「史記」李斯(りし)伝より]
島田知事の好んだ字「断」は、ここから取ったものだそうです。

〔3〕学生時代、野球選手としても名高かった島田知事。
現在、夏の高校野球で、沖縄県大会優勝校に授けられるのが「島田杯」です。
島田知事への感謝を込めた記念杯であり、
こんなところにも沖縄県民の感謝の念が現れています。
■参考文献
・『沖縄の島守 内務官僚かく戦えり』(田村洋三)中公文庫
・『沖縄の決戦―県民玉砕の記録』(浦崎純)文華新書
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